胚細胞腫瘍(ジャーミノーマ)
胚細胞腫瘍とは
胚細胞腫瘍は、生殖器(精巣・卵巣)に発生するものと、体の正中線上に発生し、後腹膜(おなかの中)縦隔(胸の中)脳(松果体、下垂体)など性腺外に発生するものがあります。
好発年齢は10歳代から30歳代で、90%は20歳未満に発生し、男児に多い(約78%)腫瘍です。松果体(65~80%)神経下垂体(18~27%)基底核(5-10%)に生じることが多く、松果体と神経下垂体部に同時に腫瘍が発生することもあります。全脳腫瘍の3%、小児脳腫瘍では15%を占めます。また、日本人に多い(欧米の2‐3倍)という特徴があります。
分類
胚細胞腫瘍はジャーミノーマ、成熟奇形腫、未熟奇形腫、卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、胎児性癌、混合型腫瘍の6つがあり、それぞれ予後良好群・中間群・予後不良群に分けられます。ジャーミノーマが最も多く、約7割を占めます。
予後良好群:ジャーミノーマ、成熟奇形腫
中間型:未熟奇形腫、混合型腫瘍(ジャーミノーマと成熟奇形腫の)
予後不良群:卵黄嚢腫瘍、絨毛癌、胎児性癌、これらの悪性要素が主体の混合型腫瘍
症状
ホルモン(内分泌)障害、複視、水頭症症状などで発症します。発生する部位により症状は異なり、松果体部に腫瘍ができると、松果体の前方にある中脳水道と呼ばれる脳脊髄交通路が狭窄・閉塞し、頭蓋内圧亢進をひきおこし、強い頭痛と意識障害が起こります。また、目が上下方向に動かなくなることもあります。神経下垂体部に腫瘍が発生すると、ホルモンの分泌が障害され、尿が大量に出てしまう尿崩症を起こし、小児では低身長や無月経などを起こします。
治療
成熟奇形腫は良性腫瘍ですのですべて摘出されれば根治となりますが、その他はすべて悪性腫瘍であり、お薬や放射線での治療が必要です。
昭和大学では、まずは診断のために一部腫瘍組織をとってくる生検術を、神経内視鏡を用いて、低侵襲に手術を行っています。確定診断後には初発の頭蓋内原発胚細胞腫に対する治療プロトコールに沿って放射線治療を行っております。また腫瘍の種類によっては、放射線療法後に腫瘍が残っている場合、腫瘍をすべて摘出する手術を行っております。
お困りの方は是非ご相談ください。
担当医
清水 克悦教授
顔面痙攣・三叉神経痛や、頭蓋底腫瘍(聴神経腫瘍・下垂体腫瘍・髄膜腫など)の顕微鏡手術を得意としております。
・外来日は木曜日です。お気軽にご相談ください。
・手術、学会などで不在となることもあります。お電話でご確認の上お越しくださるとありがたいです。
医療連携室:(03)3784-8400
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