主任教授の挨拶
- HOME
- 主任教授の挨拶
ご挨拶
昭和大学 医学部 脳神経外科学講座
教授 水谷 徹
2012年4月より昭和大学 医学部 脳神経外科学講座を担当させていただいています。自己紹介と手術動画は 脳神経外科医 水谷 徹のページ にもアップさせていただいています。
1984年に東京大学を卒業後、東京都多摩地区での20数年間を経て脳動脈瘤、頚部頚動脈狭窄、バイパス術などの特に脳血管障害の手術治療、良性脳腫瘍の手術を中心に取り組んできました。科長となった前任地の東京都立多摩総合医療センターから昭和大学での2001.7-2021年の期間にわたって主導した脳神経外科手術件数が10963件と1万件を超えています。その中でも術者、指導助手、監修者として、脳動脈瘤クリッピング術1997件、頚部頚動脈内膜剥離術 925件、脳血管バイパス術509件、脳腫瘍摘出術1359件と日本有数の規模の手術にかかわってきました。脳動脈瘤の中でも、特に解離性脳動脈瘤治療経験数は400件を超えています。また脳動静脈奇形(AVM)の手術経験も100件を超えています。
コロナ禍の折、昭和大学病院での脳神経外科診療がストップした時期があり、通常年よりかなりの手術数減少しましたが、全国から手術やカテーテル治療が困難な動脈瘤、頚部頚動脈狭窄を中心とした患者さんをご紹介いただき、2021年の昭和大学病院での手術件数は477件(うち血管内治療105件)でしたが、昭和大学4施設での手術総数は1117件(うち血管内治療418件)でした。
多くの手術において安定した結果を出すためには、“安全、確実”が何より大切だと考えています。
最新の画像システムを取り入れ、すべての患者さんについて、その一人一人について、スタッフ一同できめ細かくデータを検討して治療方針を立てています。さらに、手術を受けられた方は、定期検査を施行し長期フォローを行っています。また、2014年9月より、昭和大学藤が丘病院 脳神経外科に、我が国の脳血管内治療第一人者である寺田友昭教授とその門下の血管内治療の指導医、専門医を迎え、昭和大学 脳神経外科グループそして、血管内・開頭治療の双方に高いレベルの治療を提供していると自負しています。2016年から全国23施設のフローダイバーターステントの先行施設の1つとして認可されました。
脳動脈瘤、頚部頸動脈狭窄はすべての患者さんにカテーテル治療と開頭術の両方の面を検討し、治療を受けられる方の立場に立った医学的には最良の治療方針をお勧めしています。しかしそれでも“できれば切りたくない血管内治療で”という方のお気持ちの方には極力優先的に血管内治療を行っています。
脳血管障害の手術においては、2017年4月より脳卒中の外科技術認定制度が導入され、脳動脈瘤開頭術、頚動脈内膜剥離術、バイパス術の3つの手術経験が認定医、指導医の手術資格の対象となります。私(水谷)自身、当初より技術認定の判定委員を仰せつかっております。昭和大学脳神経外科は上記3つの手術数が全国有数で、多くの認定医、指導医を輩出しています。
脳動脈瘤
未破裂脳動脈瘤はもともと症状のない方に脳ドックなどで発見されるため、術後は同じ状態で仕事あるいは生活を保っていただけるレベルの治療を行うことが求められます。2012年の着任以来、昭和大学脳神経外科における無症候未破裂脳動脈瘤の治療成績は、手術、血管内治療とも生活自立98-99%というレベルです。
脳動脈瘤の手術は脳神経外科におけるすべての手術の極意を含んでおり、穿通枝という1mmにも満たない極細の動脈を確認する上でも”無血の手術“をめざすことが理想です。“無血の手術”は、脳や血管を傷つけることのない手術を意味します。
水谷は、2017年4月17日発刊夕刊フジ特別版健活手帖 名医50人などさまざまな紙面で“脳動脈瘤治療の名手として取り上げていただいています。
脳卒中の外科技術指導医の認定など、各種学会においても、手術を指導する立場にあります。
また、私自身、無血手術をウリにしており、実際の手術動画は YouTube 水谷無血手術、あるいはホームページにアップしている手術動画でご視聴、ご確認ください。また、治療難易度の高い動脈瘤に関して(2001.7 – 2020)大型巨大動脈瘤(15mm以上)114件、傍前床突起内頚動脈瘤138件、後頭蓋窩動脈瘤 150件の手術を経験しています。傍前床突起内頚動脈瘤は視神経に近く特殊な技術を要する動脈瘤ですが(手術動画をアップしています)マイクロリウエルで前床突起を安全に削除し、視神経を保護する技術を開発して良好な成績をおさめています。
また特に大型動脈瘤は個々の分枝血管や、血流動態のバリエーションが多く、治療には経験値と技術が必要です。われわれは、最新の画像技術、血管内治療と開頭術の連携によって患者さんごとのテーラーメイドの治療を行っています。
脳動脈瘤、解離性脳動脈瘤のセカンドオピニオンも積極的に受け入れています。特に脳動脈瘤は一つ一つ大きさ、形状、部位がかなり異なるため、手術難易度のバリエーションが多く、それに対応できる医師を選ぶ必要があります。
昭和大学で扱う脳神経外科の疾患は脳血管障害(脳動脈瘤、頚部頸動脈狭窄、脳AVM、脳血管バイパス術)、脳腫瘍(下垂体腺腫、髄膜腫、神経鞘腫、神経膠腫、転移性脳腫瘍など)、機能外科(顔面けいれん、三叉神経痛)、てんかん外科(難治性てんかん、焦点性てんかんに対する最新治療)などを中心としています。
急性期脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血)頭部外傷を中心とする2-3次救急疾患は24時間体制で積極的に受け入れています。
スタッフ一同、よろしくお願いいたします。