動脈瘤の治療方法(2)脳動脈瘤塞栓術
脳動脈瘤塞栓術の方法
カテーテルによる治療です。脚の付け根の血管からカテーテルを挿入し、脳の血管まで進めていきます。そして、コイルと呼ばれるプラチナ製のやわらかい糸状のものを動脈瘤へ詰めます。非常に繊細な治療ですので、局所麻酔でも治療は行えますが、主に全身麻酔にて行っています。当院では、Philips社製の最新鋭および最上級のアンギオ装置にて治療を行います(2013年4月現在)
動脈瘤塞栓術に用いるコイル
脳動脈瘤塞栓術の長所と短所
この治療の長所は、手術とは異なり“切らずに治療ができる”ことで、頭の皮膚を切ったり頭蓋骨を開けたりする必要がありません。そのため、手術後に頭部に傷が残ったり、その傷が化膿するといったことはありません。また、血管の中から直接動脈瘤に到達できるため、手術と違って脳に触れずに治療することが可能です。そのため、脳の深部など手術にて到達が困難である部位の動脈瘤に対しては積極的にカテーテル治療が行われることが多いです。
しかし、この治療にも欠点があります。動脈瘤が再び大きくなったり、留置したコイルがつぶれたりして、再治療が必要となる可能性は手術より高いです。また、治療を行った血管に血栓が付くなどして脳の血管が詰まってしまい脳梗塞をきたすことがあります。この予防のために、血を固まりにくくする薬(抗血小板薬)などを使用します。
手術とカテーテル治療、どちらが良いのか?
手術、カテーテル治療とも一長一短です。それぞれ得意な動脈瘤と不得意な動脈瘤があります。動脈瘤の形状や発生部位、年齢、他に患っておられる病気などを熟慮し、治療方針を検討することが重要です。そのため、手術に適しているのかカテーテル治療が望ましいるのかを、患者さんごとにそれぞれのエキスパートが相談して決めるのが望ましいと我々は考えています。
奥村が共著しております。